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宮城野
を終えて
大雪に見舞われた12月18日、昼夜たった2回の本番でしたが、劇団新劇場一日〈ひとひ〉公演『宮城野』、無事終演致しました。あいにくの天候の中、札幌は琴似のレッドベリースタジオへ足を運んでくださったすべてのお客様に、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
今回この素晴らしい作品にお声がけしてくださった劇団新劇場さんは、今年で創立60年を迎える全国でも貴重な、長い歴史を持つ劇団さんです。私事になりますが、かつては僕の両親も在籍しておりました。当時は札幌の東区に稽古場があり、幼かった僕は稽古場の2階にあった衣裳や小道具の保管場所で兄とふたり、遊んだ記憶があります。また劇団のお兄さんやお姉さんに遊んで貰ったこともいい思い出です。それから30数年。お歳を召されてもお芝居に熱い情熱を傾ける先輩諸氏の皆さんは、本当にエネルギッシュで、見習うべき方々です。その中で、劇団部外者である僕のような者が、この素晴らしいふたり芝居で本当に素敵な女優さんでいらっしゃる藤野里香さん演じる宮城野の相手役・矢太郎として呼んでいただいたことに、感謝の念を抱かずにはいられません。
また今回の作品は、今年の9月から劇団の新代表になられた栗原聡美さんの、代表としての初演出作品でもあります。栗原さんは10年前にこの『宮城野』で主演を務められており、今回は演出として多くのご指導をいただきました。また劇団の方のみならず、本当に多くの方々よりご指導・ご協力をいただき、無事に終演を迎えることができました。この場をお借りしまして、改めてたくさんのサポートをしてくださった皆様に感謝申し上げます。
お芝居の作品づくりというのは、常に不安と葛藤の連続です。それは地道で、決して華やかな日々ではありません。表現者として恐ろしく未熟な僕は、栗原さんの思い描く作品世界にどうしたら近づけるか、また自分のやりたい表現とは何か、真剣に考える時間をいただきました。決して平坦ではないこの日々を、表現者として最も重要と僕が心に刻んでいる「ワクワクの日々」にしてくださったのは、何より演出の栗原さん、主演の藤野さんの存在があってのものです。栗原さんは僕ら演技者を最後まで信じてくださり、迷走する僕を厳しくも温かい視線で導いてくださいました。また藤野さんとは稽古場以外でも時間を共有し、話し合い、本当に素晴らしい日々をご一緒させていただきました。
「無償の愛」を描いたこの『宮城野』、早くもたくさんの嬉しい評価・感想を頂戴しております。まだまだ感染症のリスクが払拭できない毎日で、また殺伐としたニュースも耳にします。そんなときだからこそ、愛に生きたひとりの女性を描いた『宮城野』を上演することに、とても意義深いものを感じてなりません。
この稽古期間中、僕は僕の生活環境が大きく変わる出来事がありました。来年は、これまで僕を支えてくださった方、励ましてくださった方、見守ってくださった方へのご恩返しとして、ちょっとした企画を練っているところです。そのご報告は近々させていただきますが、まずは皆さまがこの寒い季節を健康に乗り切って、新たな春の訪れをご一緒に喜べる日を楽しみにしております。
ご来場いただいたすべてのお客様のご多幸をお祈りして。
2021年12月24日
工藤康司
『宮城野』ミニフォトギャラリー

北海道で活動をされている、アーティストの山田夏蜜さんに素敵なスチール写真、ゲネプロの写真を撮影していただきました。僅かではありますが『宮城野』の世界観をお楽しみください!
●山田夏蜜さん … 寫真家、短詩人、ゆるイラストなどを手がける「雑貨屋猫丸山田商店」店主。2010年札幌市民芸術祭大賞、2021年第1回小鳥書房文学賞受賞。






